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バイトの締め作業をしていたらトイレからパンティーが見つかった話

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あれは僕がまだ学生の頃だった。

パンティーの前の静けさ

高校を卒業し、都会に住んでみたいというしょーもない理由でクソ田舎から大阪に出てきた僕は、奨学金で学費をなんとかしながらバイト代で生活をやりくりしていた。

 

当時、僕がバイトしていたお店は、生パスタとピッツァが人気のこぢんまりとしたイタリアンレストランで、「私、お洒落ですが?」という写真をSNSにUPしたがりな女性客で日々賑わいを見せていた。

 

 

ある日、お店の電話が鳴った

 

ガチャッ・・・

 

「お電話ありがとうございます!○○です!」

 

「あの〜予約したいんですけどぉ〜」

 

相手は若い声の男性。

 

「あっ、はい!ご希望の日時と人数をお願いします。」

 

「来週の金曜日の夜10から2名で〜」

 

「はい、かしこまりました〜。飲み放題やコースなどはお考えですか?」

 

「あ〜飲み放題でコースにしたいです〜」

 

「はい、かしこまりました〜。」

 

その他、名前とか聞いてマニュアル会話が終了。

 

すぐに来週金曜の夜シフトを確認すると自分の名前が。

 

「あー俺入ってんな〜・・・」

 

そう小さく呟いた僕は、まだこの一本の電話が巻き起こす事件を知る由もなかった。

事件の金曜日

金曜日のディナー、お店は大盛況だった。

 

ホールではスタッフが20mシャトルランをしているかのように右往左往し、キッチンでは反復横跳びをしているかの勢いで店長と僕がステップを踏んでいた。

 

止めどなく追加されるオーダー、無くなっていくお冷や、溜まっていく洗い物、大人数で来て別々で会計をするお客様。

 

そこは、地獄だった。

 

 

 

そんなピークも過ぎ、だいぶ空席が出てきた22時過ぎ。

 

入り口の扉につけられたベルが鳴る。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

「あっ、予約していたほにゃららです。」

 

「あっ、お待ちしておりました〜あちらの席へどうぞ〜」

 

あの予約客が来た。

見た感じ30歳前後の真面目そうな男女のカップル。

 

このときの僕はクズだったので、お客さんの顔面を10段階評価で査定しており、男のほうが『4』女のほうが『3』だったのを覚えている。

 

そして、ちょっとすると4はシャンディガフを、3はキティを注文して飲み始めた。

 

忙しいながらもふたりを観察していた僕は、最初にふたりを『カップル』と仮定したそれを撤回した。カップルにしてはどこか初々しい、違う。

 

友達にしてもちょっと・・・。

 

脳内で色々な憶測が飛び交った後、僕はふたりを『友達から紹介してもらった同士』もしくは『合コンで知り合って初めてふたりで会ったやつ』と新しく仮定した。

 

見た感じそんな関係の距離感だった。

 

 

 

そして時間が過ぎる。

時間が遅くなるにつれ、客が一人また一人と消えてゆく。

 

店長「だいぶ落ち着いたな〜、あと三組だけか。てかにもの、ちょっとあれ見てみ…w」

 

店長がおもむろにワインセラーのほうを指を指す。

 

「んっ?なんすか?」

 

店長「反射」

 

よく見てみるとそこにはなんと、ワインセラーのガラスに反射して映る、クソほどイチャコラしている4と3の姿があった。

 

最初座った『普通のイス席』から時間が経つ事で空いた『奥まったソファー席』に移動した彼らは、最初の初々しさが嘘かのようにイチャついていた。

 

奥まったソファー席はL字のフロアの奥のトイレ前にポツンと隔離されたように存在し、このときはトイレに立つ客も少なかったので、彼らを直接見れる人間はほぼいない状況だったのだ。

 

間接的に見れる人間は2人ほどいたわけだが・・・

 

反射なのでそこまでよくは見えないが、4と3の肩と肩は触れ合っているように見え、唇と唇も今にもゴッツンコしそうな勢いに見られる。

 

非常にハレンチ。てかよくそこまで発展したなと。

 

いくら反射とはいえ見ていられない光景なので、無視して明日の仕込みに入る僕。同じように発注をし始める店長。裏でまかないを食べるホールの女の子。

 

なんの邪魔も入る事のないサンクチュアリで、4と3は乱れに乱れていた。

パンティーは突然に

そこから少しばかり時間が経ち、4と3以外の客が帰ると同時にホールの女の子も上がり、店内は4・3・店長・僕の四人だけになった。

 

ラストオーダーの時間も過ぎているので、あとは4と3が帰るのを待つのみ。

 

ちなみにラストオーダーを聞きに行った女の子の話では、4が3の肩に手を回していて今にもおっぱじめそうな雰囲気だったという。

 

お酒の力は本当にすごいな〜・・・なんてホールトマトを潰しながら思っていた僕は、何気なくワインセラーに目をやる。

 

 

 

・・・んっ?あれ?

いない??

 

 

さっきまでワインセラーの中にいた4と3の姿がいつの間にか消えていた。ふたりは一体どこへ・・・。

 

仕込みに夢中になっていたとはいえ、キッチンの前を通る人間を見逃すことはまずありえない。しゃがみ歩きでバレないように出て行った可能性もあったが、扉のベルがそれを拒む。

 

 

 

 

 

トイレだ。

 

ふたりの居場所はそこしかなかった。

 

よく見るとバッグも席に置いてあるし。

 

男女共有のせまいトイレにふたりが入って一体何をしているんだろうか。

 

店長にそのことを知らせると、店長は苦笑いしながら

 

「ヤバいやんw てかちょっとタバコ買ってくるわ」

 

と呟き、店を出て行った。それどころじゃないだろ・・・。

 

店内には4と3と僕だけ。

トイレに入っている人数の方がフロアにいる人数より多いというクレイジーな展開に、僕は動揺していた。

 

と、そのときトイレのドアが空いた。

 

 

 

ワインセラーにふたりが映る。

 

そして、ふたりは出てきてすぐにお冷やを飲むと、席に座る間もなくレジのほうにやってきた。

 

「あ、ありがとうございま〜す!」

 

平然を装って会計をする僕。

 

近くで見てわかったことだが、男はナゼか若干鼻息が荒く、女はナゼか肩で息をしており、ふたりともベッロベロだった。

 

特に女の方は今にもぶっ倒れそうなぐらい。

 

「ありがとうございました〜またお越し下さいませ〜・・・」

 

男の方が金を払い、ごちそうさまを言う事も無く早足な千鳥足で去って行った2人を見送った僕は、看板をCLOSEにし締め作業に入った。

 

もちろんトイレから。

 

汚してませんように、という希望を胸に。

 

 

 

カチャッ・・・

 

トイレを開ける。

 

 

 

 

 

クサい。

 

おそらくこれはゲロのニオイ。

 

しかし、床にとかではない。ちゃんと吐いてくれている。

 

良かった〜・・・

 

あーっ、なるほど!

吐いてる人をもう一人が見ててあげたのか!

 

なんや〜も〜うビックリしたぁ・・・

 

 

 

と、ホッとした瞬間、僕は便器の向こう側に何か黒い物が落ちているのに気付いた。

 

これは・・・シュシュ??

 

 

 

 

 

NO、パンティー。

 

レースのドエロい黒いパンティー。

 

しかも、よく見ると少しクルッと丸まっている

 

このひねりは女性自らが綺麗に脱いだ物でないことを示している。

 

つまり、この狭い部屋でふたりがそういった行為に及んだのはやっぱり間違いなかった・・・。

 

そして、さっきの3がノーパンで出て行ったのも間違いない・・・。

 

確かに3はロングスカートを穿いていたのでそこまで支障はないと思うが、やはりちょっと頭がおかしい。

 

なぜパンティーを穿き忘れるのか・・・トイレもクサいし・・・

 

 

 

!?

 

そうか、そういう事か・・・。謎は解けた。

 

つまりはこういう事だ。

 

 

あのふたりは何かの合コンか友達からの紹介で知り合った性欲に飢えた獣。

 

そして、そんな獣同士が仲を深め合う会場にここが選ばれた。

 

最初は理性を保っていたが、お酒の力によって本性をあらわにした獣共は、我慢できなくなりトイレで行為に及ぼうとした。

 

しかし、どちらか(女濃厚)が途中でゲロをぶちまけたためにその行為が中断され、とりあえず帰ることになった。

 

そして、女の方はパンティーを穿いていないということを認識する頭が働かないぐらいベッロベロで、パンティーを忘れてしまった。

 

パンティーがレースのドエロい黒だったのは、女のほうもそういうスタンスで来てたから。

 

我ながら完璧な推理。

それにしてもヤバい事件である。

 

 

 

このことを帰ってきた店長に話すと、パンティーは一応忘れ物として保管しとこうという話になり、その日から長い間ビニール袋に入れられたレースのドエロい黒パンティーが従業員の控え室に飾られた。

 

その後、もちろんそのパンティーを取りに来る者はなく、しばらく経った年末の大掃除のときに、パンティーは女スタッフの手によって葬られた。

おわりに

今でもお酒を飲むとこの日のことを思い出し、飲み過ぎは良くないと自分に言い聞かせることができている。

 

そう、あの日のレースのドエロい黒パンティーは、僕に大事なことを教えてくれたんだ。 

 

 

ありがとう、パンティー。

そして、さようなら。

 

 

 

—Fin—

 

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